納豆手作り記

納豆を熟成させる装置を作って納豆を手作りしました

納豆が体にいいことは以前から聞いて知っていました。
スーパーで結構安く手に入るので、気乗りしていなかったんですが、
女房どのに手作りしようと言われて、やる気にななりました。
納豆作りのサイトはたくさんあると思いますが、
ここでは保温熟成装置を中心に、他とは違う我が家流を中間報告します。
なければ作る、それもできるだけ安価に、高性能にという実践の記録です。

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納豆手作り記  はじめに

 納豆を手作りする当たって特に参考にしたページが2つあります。一つは神奈川県農業技術センターの『農産物の上手な利用法』の『穀類・豆』の『納豆』『作り方のアドバイス』です。『農産物の上手な利用法』は実に有益なサイトで、見事としか言いようがありません。

 もう一つは『食品を手作りしませんか』の『漬け物類と納豆』の『納豆の作り方』です。このサイトも非常に優れた解説で、多くの食品の作り方を紹介しています。他にも目を通したサイトがありますが、自己流を行なう前段の基礎知識を得るうえで、この2つのサイトに大変お世話になりました。心からお礼申し上げます。

 納豆の保温熟成装置(以後「熟成器」と呼びます)については、参考としたページはありません。全て手探りで、失敗を繰り返しながら作り上げたものです。このページが、こういう装置を自作する方の参考になればこの上もなく嬉しいです。納豆の手作りだけをご覧になりたい方は、『納豆の作り方』をご覧ください。

 このページの小さな写真をクリックすると、画面左に600×450ピクセルで表示されます。そのままにして次の写真をクリックすると、新しい写真と入れ替わります。最後に写真を閉じるようにすれば、楽にご覧いただけます。ただし「納豆完成」の縦長のものだけは、入れ替わりませんので、別個に閉じてください。ブラウザの左に拡大写真用の余白をとっておくことをお薦めします。








 

納豆手作り記   気の抜けない細菌管理

 発酵食品は、有用な細菌をうまく利用したものですから、完全に滅菌したら、目的の菌まで殺すことになりかねません。キムチやヨーグルトを日常的に作っている我が家では、手指の滅菌や器具の消毒に気を配ってはいますが、完全ではありません。

 そこで納豆菌について調べてみると、どうやら熱には大変強くて、他の菌が死んでしまう温度でも、生き残るそうです。煮えたぎった熱湯でも死なないということは、熱管理をしっかりやれば、納豆菌だけを選択的に残すことができます。

 『農産物の上手な利用法』では、種を植えたものを30℃に保つように指導していますが、『納豆の作り方』では40℃が推奨されています。納豆菌が熱に強いことを考慮して、40℃を最初の目標にしました。しかし後に述べるように、ここでは品温を35℃前後としました。

 納豆菌は好気性なので、どちらも容器を密閉しないように指示し、プラスチックやガラス製の容器は結露すると忠告しています。開放的ということは、納豆菌以外の細菌にも好環境なうえ、納豆は熟成に時間がかかるので、雑菌の危険に曝されているわけです。ヨーグルトの熟成器の熱源部を転用しますから、予めアルコールで丁寧に殺菌しておく必要があります。アルコールの散布にはダイソーで購入した化粧品用のスプレーを使用します。

 使用する器具や容器は、大豆が煮上がる少し前に、煮沸または熱湯に浸けて、殺菌しておきます。ただし容器の蓋がポリエチレン製である場合は、熱によって変形する恐れがありますから、アルコールで消毒して、乾いた状態で使います。アルコールで殺菌する場合、残留アルコールが納豆菌にまで効果を及ぼす危険がありますから、直接接しないもの、例えば手指や熟成器の内部など、アルコールが乾き切った状態で使うものに限定します。








 

トップへ  ちょっと難しそうな温度管理

 種付けした大豆の容器の中の空気が入れ替わるようにして、なおかつ20〜24時間に及んで温度を40℃前後に保つのは、結構難しそうです。教科書的には、種付けをした大豆を適当な容器に2〜3センチの厚さになるように入れて、ラップやアルミホイルで覆ったものに竹串などで穴をあけて、それを布巾などでくるんでこたつに入れておくなどが推奨されています。しかしすでにこたつは撤去したし、納豆作りのためにだけこたつを使うのは、節電の必要な現在、好ましくありません。

 防水をしっかりして風呂での発酵もありえますが、熟成時間が20時間前後であることを考えると、ヨーグルトの4〜5時間のようなわけにはいきません。発泡スチロールの箱に、湯たんぽ、あるいはそれに代わるペットボトルにお湯を入れて時おり温度をチェックして温度が下がったらお湯を入れ替えるとか、使い捨ての懐炉を使う方法などが紹介されています。米麹を使って甘酒を作るときは、60℃前後に保温するのですから、それに比べれば楽なはずですが、寝ている間の温度管理に自信がありません、そこで我が家ではもっと安定的な方法を講ずることにしました。

納豆手作り記  そこで15年ほど前に作って今も現役で使っているヨーグルトの熟成器の熱源部を転用して、納豆が出来上がるまでの保温装置、ここでは「熟成器」と呼ぶものを作ることにしました。これなら温度管理は大丈夫だろうと考えたんですが、何分にも1リットルの牛乳パックをそのまま使う方法ですから、庫内の高さはともかく、横幅が狭すぎます。狭ければ広くする方法を考えればいいわけですから、熱源部だけを共用することにして、その他を新たに作ることにしました。なお熱源部は、30ワットの半田ごての熱源ユニットに放熱効果を上げるためのアルミ板を取り付けて、4センチほどの高さに設置したものを、内径10センチのエスロンパイプの内側に合わせて、銅板で丸く囲んだものです。

 写真では中に缶詰の空き缶をセットしてありますが、長時間の使用で、出来上がった納豆がひからびてしまわないように、水を入れるためのものです。テスト段階で、過剰な湿度になって、結露しにくい容器にまで結露を起こさせることが判明したため、無用の設備となりました。温度調節のためには、熱帯魚の水槽用のサーモスタットを使用します。あまり古いことで忘れましたが、これはたぶん3千円近い、少々高価な買い物だったと思います。納豆は20〜24時間という長時間の温度管理が必要ですから、サーモスタットは欠かせません。







 

トップへ  熟成器の材料探し

納豆手作り記  先ず、ほどよい大きさの筒状のもの、例えばゴミ箱など探しました。大きさの基準がありませんから、メージャー片手に、出来上がりをイメージしながら物色しましたが、これといったものがありません。そこで別のダイソーに車を走らせて入手したのが、内のりで、底13センチ、口径17センチ、深さ27センチの白のプラスチック製のゴミ箱です。熟成器としては、上下を逆にして使用します。写真は、完成したもので、中には熱源部と次に作る棚がセットされています。

納豆手作り記 納豆手作り記  入手したゴミ箱の内径よりもやや小ぶりの、棚になる材料を物色します。これが中々思いつかなくて、店の中をグルグル回りました。結局「お弁当用焼き網」に使われている金網が使えそうなので、1個買って、分解してテストしました。ちょうどいいことが分かって4枚買い足しました。懐炉やアンカを使うと、底ばかりが暖められ、電気ごたつでは、上ばかりに熱が加わりますが、網を棚に使うと、容器のまわりから暖まり、途中で容器の中の大豆の上下を入れ替える必要がなくなると考えました。

 この網をゴミ箱の中にどう配置し、どう固定するかでも、頭を悩ませました。最初は朝顔の囲いの輪を切り詰めて、足を4本にしたものを作ってみましたが、不安定で、使い物になりそうもありません。百円捨てることになりますが、やっぱりダイソーで1センチ×1センチ×92センチ2本セットの工作用の材料を買い、これを網に取り付ける、ではなく網を棒に取り付けることにしました。その棒は、写真の金網の上に置いてあります。







 

トップへ  熟成器の製作

納豆手作り記  金網と棒を一体化するには、結構緻密な下準備が要りました。上が細く下が広いのですから、棒に溝を切り込んで、上は棒が網の内側に来るように、下は網の外側に食い込むようにします。網の棚が2段のものはあまり苦労しませんでしたが、3段となると、中段の溝を深くしなければなりません。右の写真は、そういう加工をした直後のもので、実際に組み合わせる際には、さらに微調整をしています。棒の左端の線は、書くときに内と外を間違えた痕跡です。2段のものと3段のものを作ったのは、大豆をいれる容器の手当がついていないので、2段のものは、取りあえず高さ8センチの紙コップを使う場合を考えたからです。容器については、この先苦労しそうです。なお熱源の台との兼ね合いで台形にしましたが、その必要がなければ、寸胴でも問題ないでしょう。

納豆手作り記  棒と網の接合は、これまたダイソーで買った細いステンレスの針金を使いました。少しずつ仮留めをし、最後にきつく締めて櫓のような棚に仕上げました。4本の足がぐらつかないようにするには、ちょっぴり根気がいりました。また2段のものは高さが20センチで、上の段に浅い容器を置いても滑って落ちないように、針金で手すりのような歯止めをつけました。3段のものは高さが22センチで、浅くて広い容器を置く予定で、歯止めを作ってありません。もし必要となったら、後からつけられます。

納豆手作り記  こうしてできた櫓状の棚を熱源部と合わせたものが右の写真です。熱源の台には、焼き網に組まれていたセラミックらしい網を載せて、熱が集中しないようにしたつもりです。実際の効果は測定できませんが、概ね均等にできたので、ないよりはましと考えています。

 もとゴミ箱だったカバー部分の、もともとは底だったところの端に穴をあけて、サーモスタットのセンサーを取り付けます。写真は、『熟成器の材料探し』のところで使いました。もう一度ご覧になるには、ここをクリックしてください。水温調節のセンサーは元来水の中に入れるべきで、この場合は大豆の中に入れるのが本筋ですが、構造的に無理があるので、一番上の空気の温度で働くようにさせています。

 センサーを入れた穴をテープで狭くして、温度計を取り付ければ、納豆熟成器は完成です。でもテストをしなければなりません。2段の棚の下の段に、半分ほど水を入れた紙コップを置いて、サーモスタットの感度をHiにセットして電源を入れます。熱帯魚の水槽の温度管理のためのものですから、目盛りは32℃までしかありませんが、そのう上にHiがあり、さらにその上にボリュームを回せますので、40℃前後で安定する場所を探します。落ち着いたところで、紙コップの水温を測ると、40.7℃、まあ成功でしょう。

 もしこの記事を見て、熟成器を作ろうとお考えでしたら、もうひと回りかふた回り、直径にして3〜4センチ、高さが4〜5センチ大きいものがあったら、ずっと使いよいと思います。もちろん棚に使う網の大きさも考えなければなりません。熱源には、30ワットの半田ごてを流用するのがお薦めです。サーモスタットは、お近くの電気店やペットショプでお探しください。







 

トップへ  大豆の下準備

納豆手作り記  大豆は近くのスーパーで200グラム入りの「TRN十勝産大豆」を買いました。大粒で、水を含んだら相当大きくなると想像されます。228円でしたが、日曜日の朝市だと10時半まで1割引ですから、205.2円です。次回からは朝市で買いましょう。なお現在は、ネットショップで1キロ400円の国産大豆を購入しています。この価格差に女房どのは疑問を呈していますが、味も香りも上質です。

 一晩水に浸けておくという指示に従って、夕食後そろそろ風呂に入ろうかというころ、大豆100グラムを洗います。3〜4回水を替えて丁寧に洗い、400ccほどの水に浸けて一晩置きます。浸す水は、浄水器を通した水道水を前もって汲み置きしたものです。塩素が残っていると納豆菌に悪影響があると言われますが、よく煮るので、あまり神経質になる必要はないと判断しました。前橋市中心部の水道水は、利根川の伏流水を浄化したものですが、我が家の地域のものは、赤城山麓の地下水を浄化したもので、どちらも水質に定評があります。

納豆手作り記 納豆手作り記 納豆手作り記  左の写真は、左から大豆100グラムを計量したところ、水に浸して1時間半経過したもの、一晩浸したしたものを水から上げたものです。サムネールをクリックすると拡大しますから、秤の目盛りを比べてください。何と218グラムに膨らんでいます。







 

トップへ  大豆を煮る

納豆手作り記  大豆を熱処理する方法として、普通に3〜4時間煮る方法、圧力釜で30分煮る方法、蒸かす方法が紹介されています。予備的な実験で、圧力釜で試みましたが、豆は柔らかくなるのですが、成分が煮汁に溶け出してしまって、大豆のせっかくの風味が落ちてしまいそうです。家内と相談した結果、圧力鍋の中に台を置いて、その上に水切りした大豆を入れたボールを載せて、蒸し煮を試みることにしました。短時間で、風味を損なわずに柔らかく煮ようというわけです。

納豆手作り記  我が家の圧力鍋は1と2の調整しかできません。以前のテストでは、2だと柔らかすぎる恐れがあるので、1で30分煮て、蒸気圧が下がったところで取り出すことにしました。この間に使う器具や容器を深めのボールに入れて、沸騰した熱湯を注いで殺菌します。容器は新しいものも、再利用のものと同じに殺菌します。濡れたままではまずいのですが、布巾や紙で拭くわけにはいかないので、軽く振って水切りをしました。







 

トップへ  種を作る

納豆手作り記  蒸気圧が下がるのを待つ間に、種を用意します。種には、前の日に買っておいた市販の納豆を使いました。45グラム入り3パックが98円という安価なものですが、「北海道産大豆100%」というのにつられました。「ふっくら小粒」と書いてあるんですが、私の使っている十勝産の大豆は、大変大粒です。北海道産でも小粒のものがあるようです。

納豆手作り記  市販の納豆10グラムをガラスのカップに入れ、100℃の熱湯を注ぎます。教科書的には20ccとありますが、はずみで22cc入ってしまいました。種にする納豆の量も5〜10粒とか大さじ1杯とか、厳格に考えなくてもよさそうです。これをやっぱり殺菌しておいた箸で掻き混ぜて、ぬめりのある液体を作って種にします。

 いずれ私も試してみたいと思いますが、純粋培養した納豆菌の販売元がいくつか、『納豆学会』『納豆菌の入手先』に載っています。成瀬発酵化学研究所のものは4グラムで800円だそうですが、これが何と大豆60キログラム用だそうです。毎回種にする納豆を買ってくることを思えば、大変安価で手軽ですから、ぜひとも使いたいものです。







 

トップへ  種を植えて発酵させる

納豆手作り記  煮上がった大豆を網に移したら、少し汁が残りました。煮汁のようなものでしょうが、納豆にするわけにはいかないので、捨てて目方を量りました。214グラムありますから、4グラムが汁だったのでしょう。後から考えたら、捨てる必要は無かったようです。水切りが要らないなことが、この蒸し煮のよいところかもしれません。

 このボールの大豆に、さっきの種を網をとおしてかけ、大さじで手早く混ぜます。『作り方のアドバイス』では、「絶対に、大豆の温度を60℃以下に下げないように」と注意しています。温度計を入れて確認するのも時間の無駄のような気がしたので、種を混ぜると直ぐに容器に分配しました。深さ2〜3センチになるようにとのことですが、熟成器の大きさから、多少の無理は仕方ありません。なお種の納豆の網に残った豆は、種にしなかったものと一緒にして食べました。

 大豆を入れた容器は、1つずつキッチンペーパーを被せ、輪ゴムで留めて熟成器の棚に押し込みました。楽々と入れる余裕はありませんでした。電源は予め入れておき、概ね40度前後になるよう準備しておきましたが、サーモスタットの限界を超えたところでの利用ですから、多少の無理があります。

 保温の温度は、実はサイトによってまちまちなので、悩むところです。ヨーグルトの発酵は42℃が適温とされますから、それを上限にして、36℃より下がらないようにしようと考えました。熟成器に入れたのが午前9時少し前ですから、明日のその時刻まで、この温度範囲を保つようにします。教科書的には、半日経過したところで、豆の上下を入れ替えるようにとか、時おり品温をチェックするようにとありますが、私は放置することにしました。キッチンペーパーをはがして、温度計を入れたり、上下を入れ替えたりすることは、雑菌の混入の機会を作ることだと判断したからです。なお庫内の気温は、43℃に達するとスイッチが切れ、44℃まで上がった後、37℃まで下がって、再びスイッチが入ります。何度もボリュームを調整して、ようやく落ち着いた値ですが、空気の温度であって大豆の温度でないのが不安です。

 発酵に要する時間は、市販の納豆を種にする場合と純粋培養された納豆菌を使う場合とで異なるという記述もありました。市販の納豆を使うと、20〜24時間とされています。保温時間が長すぎると、アンモニア臭がする恐れがあるそうですが、そうなったら、キムチを混ぜれば、キムチの乳酸がアンモニアを中和して臭いは消えます。若すぎて、再度発酵させるよりもいいのではないかと考え、22時間後の午前7時に開くことにします。







 

トップへ  納豆完成

納豆手作り記  午前7時、熟成器の外側を持ち上げると、カバーの内側が結露してびっしょりで、台に敷いたプラスチック板にこぼれ落ちました。大豆が納豆になる過程で蒸発したものですが、水が外に漏れ出さないように、植木の鉢の皿に替えることにしました。棚からパックを取り出す前の状態が、右の写真です。この1枚は、やむを得ず縦長にしました。横の写真は次に開いた写真と入れ替わりますが、縦のものはそのままなので、不要の場合は閉じてください。

納豆手作り記 納豆手作り記 納豆手作り記  棚から容器を取り出し、クッキングペーパーを外します。左の真ん中の写真は、ヨーグルトの容器を再利用したものを棚の最下段に置いたものです。一部ひからびたようになっています。この容器にはもともと蓋がなかったので、ラップをし、その他のパックにはそれぞれの蓋をして冷蔵庫に保存しました。1日冷蔵庫に入れて、「後熟」という過程を経て出来上がりで、後熟が完了したところで冷凍しておくと、長期保存が可能とのことです。

 下の段のやや大きめの容器の納豆は、表面に白い部分がほとんど見えないぐらい乾燥していました。乾き具合が気になったものですから、夕食に食べてみました。想像どおり固くて、納豆的ではないのですが、味は納豆です。中段のものと上段のものも、やや歯ごたえがあり、総じて乾き気味でした。しかし粘りや味は納豆で、次回はこの点を克服することが課題です。







 

トップへ  反省と改善点

 はじめは、温かい空気は上に上がるので、上のものほど乾くだろうと予想していましたが、実際は熱源に近いほうが乾燥の度合いが強かったです。たぶんサーモスタットが働いてスイッチが切れた後でも、熱源部の余熱が下の段に及んだからでしょう。

 これまで学んだ限りでは、適切な温度と湿度を保つことが、微生物を活発にさせる大切な条件です。今回は湿度の管理に手抜かりがあったことが、最大の反省点です。これを解決しないうちは、本当は「納豆を作った」とは言えないと大反省しています。

 乾燥を防ぐ方法として2つ考えられます。1つは、半日経過したところで、熱源部の空き缶に水を入れることですが、こうすると結露が一層進む恐れがあります。もう1つは、キッチンペーパーではなく、教科書的にラップかアルミホイルを被せて、串でいくつか穴をあけておくやり方です。この場合は、穴の数がどの程度が良いの分からないので、山勘で何通りかやって、勘を鍛えるしかありません。またラップでもアルミホイルでも、内側に結露すると報告されていますので、この解決法を考えなければなりません。

 そこで第3の方法を思いつきました。キッチンペーパーを被せた上をアルミホイルで覆って、これに適当な数の穴をあける方法です。アルミフォイルの内側に結露するでしょうが、その多くを蓋の下のキッチンペーパーが吸着して、納豆に滴下しないことを期待できそうです。次回この方法を試みて、巧くいかなかったら、更に工夫しましょう。

 今回3通りの容器を試してみましたが、扱いやすさや食べるときの具合よさは、ヨーグルトの容器が一番でした。ただ容器として市販されているものが見つからないので、不足分は紙コップを短く切り詰めたものも試そうと思います。なければ作るしかありませんから。







 

トップへ  試行錯誤の成果

 失敗のない成功はその場限りのものですが、失敗を乗り越えて得た成功は、永続的で普遍的なな価値を持ちます。人に教えるにも、やるべきこと、やってはならないことを的確に伝えることができると確信しています。さて我が試行錯誤は、どんな結末を迎えたでしょう。

納豆手作り記 納豆手作り記  改善の第1は、下に敷いたプラスチックの板を植木鉢の皿に替えたことです。カバーの内側に溜まった結露を、外にこぼすことなく開くことができました。もっとも結露は、気になるほどではありませんでしたが。写真はカバーを外す直前のものと、カバーを外した直後の内部の様子です。

納豆手作り記 納豆手作り記  棚から容器を取り出して並べ、アルミフォイルとキッチンペーパーを外していきます。一部乾いた部分があります。キッチンペーパーの効果はある程度認められますが、穴が大きく、数が多くかったようです。穴を小さくし、数を5カ所にして容器内の湿度を調整することとします。

 これから先の課題は、容器の確保と、熟成器の大型化です。ヨーグルトは種を新しくしたいときにしか買いませんから、代わるべき容器を探さなければなりません。もう一回り大きめのゴミ箱か他の用途の品物を探して、棚を大きくすれば、容器の選択の幅も広がります。焦ることはないので、気長にやっていきます。







 

トップへ  大型熟成器の製作

 ヨーグルトの熟成器としても、パンやピザ生地の1次発酵にも使えることを念頭に、熟成器の大型化を思い立ちました。欲張りな発想ですが、これまで色々な道具を作った経験から、さほど困難ではないだろうと予想しています。完成すれば、容器の心配がなくなります。こっちのほうが主目的だったりしますね。

 大型化するについて、箱体、天板、底の全てを板で作り、発熱量をやや大きくし、正確な温度管理と清潔な器内環境を維持することを目標にしました。かってスモーカーを一斗缶で作ったとき、内部の結露と滴下に苦労しましたが、段ボールに、その後板に替えてから、結露から開放されたこと、プラスチックよりも保温性がよいこと、工作がさほど難しくないこと、などなど好条件が揃っています。

 まず棚にする網をあれこれ想像して、一辺20センチの場合の切断図を描きました。取りあえず必要とするものは、カラーコンクリートパネル、金網、20ミリの木ねじ、隙間テープ、棒、布ヤスリ、針金、短い釘です。ヤスリ以下は手持ちのものを使いますが、その他はホームセンターで購入し、コンパネは切断してもらうことにします。

納豆手作り記  金網は一番小さなものでも一辺24センチと大きすぎます。やや金額がはりますが、21センチ×17センチのバット用の網を3枚購入し、板の切り方をこれに合わせて変更しました。そうして買いそろえたものが右の写真です。板のサイズは、横板は高さ35センチ、幅23センチが2枚、幅20センチが2枚、底板は一辺30センチ1枚、天板が20センチ×25センチ1枚です。切断1回につき50円ですから、7カ所で350円になりました。スモーカーは自分で切って作りましたが、多少の隙間は煙の逃げ道として必要なものでした。熟成器はデリケートな管理が必要ですから、プロによる切断は必要経費です。

納豆手作り記 納豆手作り記 納豆手作り記  箱は、上から出し入れすることにして、前開きの扉の利便性を犠牲にしました。工作が容易なこと、熱源そのたの取り付けが容易なことが上げられます。その結果、3つの部分に分かれます。側の部分は、角々が直角になるように、注意深く組み立てます。取り付けには、20ミリのステンレス製の木ねじでそれぞれ5カ所ずつ留めました。必ず仮留めをして、調整が利くようにします。左の写真は、側の部分、側と底板と天板、これら3つを組み合わせたもので。この箱体に、棚を作るための針金を入れ、熱源部とサーモスタットを取り付ければ、半ば完成です。

納豆手作り記 納豆手作り記  棚は下段を底から10センチ、2段目をその上8センチ、上段も8センチ、上段の上の空間を9センチにすることにしました。棚板にする網を上から脱着するのに不自由でない間隔です。前開きならもっと棚数を増やせるのですが...。右の写真は、一番下の段だけのものと、3つの段に網を載せたものです。バット網ですから、脚の部分がありますので、これを滑り止めのように使います。

納豆手作り記  熱源とサーモスタットのセンサーの取り付けには針金を利用しました。センサーは拠った針金の10センチの高さに取りつけ、網には触れないように立てました。熱源には、50ワットの半田ごてを分解して熱源部を使い、直径8センチほどのアルミの円盤を取りつけて、放熱効果を高めました。万一にもショートしたり、火が出たりしないように、底との間に5センチの空間をおいて、同じく針金で脚を作って固定しました。センサーと熱源の電線が、箱体に触れるか触れない程度になるように、底の板を彫刻のみで彫り、1つにまとめました。2時間通電テストをして、熱源部周辺に手で触れたところ、特に熱くなってはいません。ただ塗料の匂いが苦になりましたが、そのうちに落ち着くでしょう。

納豆手作り記  右の写真が通電試験後の熟成器です。残った仕事は、温度計にひと工夫加え、外見を良くするために、塗料を塗るか壁紙を貼るかするだけです。テストの結果、保温上の問題がないため、目張りテープは不要になりました。なお、熱源にする半田ごてなどが入手できないために熟成器の製作を躊躇している人には、熱電球の使用をお薦めします。熱電球はグリーンセンターや園芸店で入手できると思います。

 熱源は空気を暖め、サーモスタットはその温度を感知します。温度計も、プラスチック製の熟成器では空気の温度を測っていました。空間に余裕がなかったからです。固体や液体の温度は、暖める空気の温度を後追いし、変動幅も異なったものになると考えられます。本来は大豆の品温で温度管理をしなければならないはずですが、たびたび蓋を開けて温かい空気を逃がし、覆ったアルミフォイルを開いて雑菌の混入を容易にするのは、好ましいことではありません。ではどうやったら、発酵中の大豆の温度を常時チェックするかが問題になります。

納豆手作り記  そこで大豆とは別の容器に何らかの物体、この場合は水を入れて、そこに温度計の感温部を挿して表示部を外に出せば、大豆そのものの温度ではないとはいえ、近似の値を得ることができると考えました。最初ダイソーで買ったスプレーの容器を改造して試しました。ビンの口にある程度の大きさがあって、細工は容易だったのですが、水の量が多すぎて、温度の変化に鈍感になりました。最後に到達したのがヘアトニックのサンプルの容器です。水が漏れないように、これまたダイソーで買ったゴムでパッキングを作り、水が雑菌の温床にならないように、オスバン100倍液を入れました。試験運用では、センサーの目盛りを最大にして38.4〜℃40.2℃の安定した結果を得ました。これが大豆の品温と大差ないものとすれば、あとは湿度の調整が最大の課題になります。







 

トップへ  大型熟成器の課題

 この熟成器を使っての納豆の出来上がりが心配なところですが、正直に告白すると1回目は失敗です。ゴミ箱の熟成器と同じ程度の結果で、乾燥対策に課題を残しました。下の2段は、容器をキッチンペーパーで覆った上にアルミフォイルを置いて輪ゴムで留め、通気口を5カ所開け、最上段のものはモニター用にラップで覆いました。

納豆手作り記  写真の左2つは最下段、中2つは中段、左は上段に置いたもので、上段の容器は、紙製のボール型容器で、通気性があるため穴をあけてありません。最下段は一部に乾燥が認められ、上段はかなりの乾燥が見られます。これらの原因として、熟成器内部の温度にムラがあること、アルミフォイルにあけた穴の数などが考えられますが、今のところ熟成器内の空気を撹拌する方法は思いつきません。

 納豆の熟成過程で大切なのは、これまで細菌管理と温度管理、つまり納豆菌を残して他を殺菌し、適切な温度を保つことだと考えていました。しかしここに来て、結露しないように蒸気を逃がしながら、乾燥を防ぐという重大事を見逃していることに気づきました。この二律背反は、熟成器の熱源が小さいとは言え電熱器であることに起因しているのかもしれません。熱源部の作動する時間を減らすこと、つまり『作り方のアドバイス』の30℃以上という記述に従って、安全性を考慮して32℃前後で保温することも考えられます。

 これまで穴の数を調整しながらも、穴を開けたものばかり試みてきました。この穴も乾燥の原因になっているかもしれません。納豆菌は好気性だから通気孔を開けておくというのは誤りで、容器の中の空気で足りているはずと考え直しました。『作り方のアドバイス』には、「フタがぴったりできる容器の場合、フタをピタッとすることは厳禁」として、その理由を結露防止のためと述べています。それならば密閉したことにより結露しても、それをキッチンペーパーなどで吸い取ってしまえば、湿度を保って乾燥しないのではないか、もしかすると密閉状態でも可能ではないか、もう少し温度を低く保って乾燥を最小限にしたらどうか、あるいは熟成器庫内を水蒸気の飽和状態にしておいたら乾燥しないのではないか、などなど色々な疑問が生まれます。

納豆の作り方  そこで思いついたのは、ダイソーで打っているざる付きの2重パック(商品名はセパレートパック 写真左)を使うことです。パックの回りや下に結露した水はざるの下に落ちます。蓋の結露を対策は、蓋の下にキッチンペーパーを置くことで解決できるのではないか、大豆が空気と接する面積も上下となって増えるだろうと判断しました。レンジ対応ですから、蓋は完全には密閉しませんが、その僅かな隙間が蒸気の排出に有効んび働くと思われます。







 

トップへ  熱源部の改造

 さらなる乾燥対策は、熱源部の改造です。色々なページを紐どいても、乾燥対策はおろか乾燥という言葉も使われていません。ということは、乾燥は私の熟成器に特有な現象のようです。ニクロム線を含む熱源がそのまま庫内の空気を暖めていたため、異常な乾燥が起こったものとも考えられます。

 そこで半田ごての熱源ユニットを中に浮かした状態でアルミの箱に収めることにしました。箱は0.5ミリ厚のアルミ板を細工して作り、脚をつけて、底から1〜2センチ空間をとって底に取りつけます。こうすることで、ニクロム線が暖めた空気がアルミの箱を暖め、アルミの箱が間接的に庫内を暖めるということになりますから、電気ごたつなどと同じ方式になったと思います。この先、熱源部と言うときはこのアルミの箱も含めます。

 アルミ板を切っても、残念ながら溶接の道具を持ち合わせません。そこで台所の補修用のアルミの粘着テープで貼付けることにしました。これは以前ヨーグルト熟成器に使って、問題のないことが分かっています。ただし糊の接着効果の長期保持の保証はありませんから、時おり確認の必要があります。

納豆手作り記 納豆手作り記 納豆手作り記  写真は左から、15センチ×30センチのアルミ板を無駄なくカットしたもの。これらを組み立てて箱に組んだもの、内部に半田ごての熱源ユニットを入れ、口をふさいで熟成器にセットしたものです。直後のテストでは、下段と上段との温度差が約4℃になりました。原因は熟成器内部の対流がゆっくりになったためと考えられます。

納豆手作り記  換気扇などによって庫内の温度差をなくすことはできませんが、最下段の棚の下に上昇の障害物を置くことで多少の対応は可能かもしれません。前に使ったお弁当用焼き網の外側とセラミックのついた網を最下段の棚の下につけ、格段ごとの温度がどう変化するかを調べることにしました。結果によっては、さらなる改良が必要かもしれません。

 サーモスタットのダイヤルを約Hiに設定し、納豆を作る容器に水を3分の1ほど入れて各段に置き、30分ごとの水温を調べました。変化を表に示すと次のとおりです。

温度の変化 ダイアルをHiに設定

経過時間 庫内 ℃ 上段 ℃ 中段 ℃ 下段 ℃
0:00 24.5 30.1 30.1 30.1
0:30 23.2 32.7 32.8 33.7
1:00 35.3 34.4 34.4 35.3
1:30 35.2 34.6 35.1 36.2
2:00 35.8 35.1 35.3 35.7
2:30 35.3 34.8 35.3 36.4
3:00 35.7 34.9 35.1 36.2
3:30 35.1 34.7 35.2 36.2
4:00 36.4 34.9 35.7 36.4


 庫内温度はおおむね35℃ですが、下段の水温は36℃に安定し、それに対し上段と中段の水温は大差なく、おおむね35℃を示します。また別のテストで、下段に対象を置かない場合は、中段が上段より2℃近く高くなりましたから、下段を使わない場合は水を入れた容器を置くことを考えています。下段も使う場合は、熟成の過程で、2〜3回上下を置き換えるべきかもしれません。熱源部の改造が乾燥防止効果があるといいのですが、以上をふまえて、新たに購入した納豆菌を使って、飽きずに試行錯誤に挑みます。これから先は粉末の納豆菌を熱湯に溶かして菌液として使います。

納豆手作り記  ついでながら、熟成器を風呂用の水性塗料でアイボリーに塗りました。だいぶいい感じで、パントリーの片隅に鎮座しています。写真は食卓の上にもってきて撮影しました。パントリーでは舞台裏が丸見えですから。

 使用開始から5カ月後、熱源にしていた半田ごての電源ユニットが切れて使い物にならなくなりました。胃がんの手術を受けて退院した直後で億劫でしたから、これまで薫製作りに使っていた遠赤外線のヒーターで代用しました。254ワットと容量が大きいので心配しましたが、使った結果はこれまで以上に具合がよく、その後は快適に使っています。







 

トップへ  熱源改造の成果

 熱源部の改造後、はじめての納豆作りです。大豆150グラムを前夜洗って浸しておいたものが、344グラムになっていました。これを圧力釜で30分蒸し煮し、ガス圧が抜けたところで、予め20グラムの熱湯に溶いておいた菌液を、殺菌に使ったボウルで混ぜます。容器は、ダイソーで買った、ざるつきの2重パック2個と、普通のパック1個にそれぞれ120グラムずつ入れました。2重パックにはキッチンペーパーを置いた上から蓋をして、上段と中段に、普通のパックにはペーパーの上にアルミフォイルを被せて穴を5カ所あけて下段に置き、32〜33℃を目標にコントロールのダイアルを32℃に設定しました。熱源部に電気の通る時間を少なくするためです。

納豆手作り記 納豆手作り記  22時間経過後、熟成器から取り出します。上段と中段で結露の様子が異なるので、やや不安を覚えながら蓋を取りますと、納豆のいい香りがして、同じように白い粉がふいています。下段のアルミフォイルとキッチンペーパーを取り除くと、上の2つのようではなく、部分的に乾燥が見られます。

 2重パックは成功でしたが、下段に乾燥が見られたわけは、温度差ではなく、容器の形状とアルミフォイルの穴が原因したものと考えられます。パックの底にキッチンペーパーを敷いて、その上にクッキングシートを敷き、その上に大豆を入れてパックにキッチンペーパーとアルミフォイルを被せ、フォイルに開ける穴を小さく数を少なくすれば、2重パック並みの結果を期待できると考えられます。32℃の温度設定ですから、温度差が出来の差の原因ではありません。最初からこうやれば、乾燥は起こらなかったかもしれませんが、乾燥の原因を探るという意味で、必要な試行錯誤でした。

納豆手作り記 納豆手作り記 納豆手作り記  写真と現物では多少違いがありますが、個々に見ると、上と中の2段はほぼ同じ出来上がりで、後熟で白い粉がさら増えるかもしれません。下の段の乾燥した部分には、後熟を期待できそうにありません。と思っていたのですが、夕食用に取り出してみると、見違えるようになっています。掻き混ぜてびっくり、市販の納豆よりも凄い粘りです。味も香りもしっかりしていて、安心しました。

 納豆を熟成させる装置を手作りし、それを使って納豆を手作りするという目的からすれば、これで完成と言えましょう。しかし本当の完成は、自分の好みにあったもの、つまり手前味噌ならぬ手前納豆を作ることです。道は思いのほか遠かったと実感しています。






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開設:2011.5.26
大形熟成器の製作を追加:2011.5.30
熱源部の改造を追加:2011.6.9
熱源部改造の結果を追加:2011.6.11